マーチンゲール法とは:負けたら倍、勝ったら元に戻す
マーチンゲール法は、ルーレットの赤・黒のように、当たると賭けた額の2倍が戻る(配当1:1)賭けで使われる方法です。ルールは2つだけです。
- 負けたら、次の賭け金を倍にする
- 勝ったら、最初の賭け金に戻す
たとえば100から始めて、100、200、400と3連敗したあと、800で勝つと、800が戻って1,600になります。それまでに失ったのは100+200+400=700なので、差し引きで最初の賭け金と同じ100の勝ちです。何連敗しても、1回勝てば100勝つ。これが、マーチンゲール法が「負けない方法」のように言われる理由です。
賭け金はあっという間に大きくなる
問題は、連敗したときの賭け金の大きさです。最初の賭け金を100として、ヨーロピアンルーレットの赤に賭け続けた場合を計算しました。
| 連敗の回数 | 次に必要な賭け金 | それまでの負けの合計 | その回数だけ連敗する確率 |
|---|---|---|---|
| 1 | 200 | 100 | 51.35% |
| 2 | 400 | 300 | 26.37% |
| 3 | 800 | 700 | 13.54% |
| 4 | 1,600 | 1,500 | 6.95% |
| 5 | 3,200 | 3,100 | 3.57% |
| 6 | 6,400 | 6,300 | 1.83% |
| 7 | 12,800 | 12,700 | 0.94% |
| 8 | 25,600 | 25,500 | 0.48% |
| 9 | 51,200 | 51,100 | 0.25% |
| 10 | 102,400 | 102,300 | 0.13% |
赤が出る確率は18÷37なので、負ける確率は19÷37(約51.4%)です。10連敗の確率は約0.13%と小さく見えますが、何百回も賭けるうちには起こりうる数字です。そして10連敗したときには、次に102,400を賭けなければ取り返せません。
うまくいかない3つの理由
1. 手持ちのお金には限りがある
手持ちが10,000、最初の賭け金が100なら、100から3,200までの6回分(合計6,300)は賭けられますが、7回目の6,400は残りの3,700では足りません。6連敗した時点で倍にできなくなり、6,300の負けが確定します。
2. テーブルには上限がある
カジノのテーブルには、1回に賭けられる金額の上限があります。上限が1,000なら、100、200、400、800の4回までしか倍にできません。手持ちのお金が多くても、4連敗すれば1,500の負けを取り返せないまま終わります。
3. 平均すると、損をしている
手持ち10,000、最初の賭け金100の場合、1サイクル(最初の100から勝つまで、または倍にできなくなるまで)の結果は次のとおりです。
| 結果 | 確率 | 金額 |
|---|---|---|
| どこかで勝つ | 98.17% | +100 |
| 6連敗する | 1.83% | −6,300 |
| 平均 | ― | 約−17 |
ほとんどのサイクルは小さく勝ちますが、まれな大負けが、それまでの勝ちをまとめて消してしまいます。どんな賭け方をしても、ルーレットの1回ごとの賭けは平均して賭けた額の2.70%を失う仕組みなので、平均の損失は「賭けた総額×2.70%」から変わりません。マーチンゲール法は、損をなくすのではなく、小さな勝ちを何度も見せて、損をまれな大負けにまとめる方法だと言えます。
シミュレーターで確かめる
下のシミュレーターでは、手持ちの練習チップ、最初の賭け金、テーブルの上限、目標の勝ち額を選ぶと、ヨーロピアンルーレットの赤にマーチンゲール法で賭けるセッションを10,000回、その場で計算します。1回のセッションは、目標の額に届くか、最初の賭け金も賭けられなくなるまで続けます。お金は一切かかりません。
初期設定(手持ち10,000、最初の賭け金100、上限なし、目標+1,000)では、9割近くのセッションが目標に届きます。それでも、届かなかったセッションは、最初の賭け金も賭けられなくなるまで続けるため、手持ちのほとんどを失って終わります。その負けの合計のほうが、目標に届いたセッションの勝ちの合計より大きく、平均の結果はマイナスになります。目標を+5,000に上げたり、テーブルの上限を設けたりすると、どう変わるかを試してみてください。「賭けた総額に対する損失」は、回数を重ねるほど理論上の2.70%に近づきます(10,000セッションでも、偶然によって0.3ポイントほど上下します)。
「取り返せる」という考えに注意
マーチンゲール法の「1回勝てば取り返せる」という考え方は、負けを取り返そうとして賭け金を増やしていく行動と同じ発想です。国の資料も、負けを取り戻そうとして別の日にまた賭けることを、ギャンブル等依存症に注意すべき行動のひとつに挙げています。
ルーレットの仕組みは「ルーレットのルール」、賭け事ごとの控除率は「控除率とは?」で解説しています。
日本での注意
日本では、お金や価値のある物を賭けると、刑法第185条の賭博罪にあたります。友人同士でも同じで、オンラインカジノやライブカジノで日本国内から賭けることも違法です(「オンラインカジノは違法?」)。このページのシミュレーターのように、お金を使わずに仕組みを確かめることは問題ありません。
負けを取り戻そうとして続けてしまうと感じたら、「ギャンブル依存症の相談先ガイド」の窓口に無料で相談できます。